代表:岡崎 渉(NTT東日本関東病院)

うつ病治療により良い作業療法の提供を目指して 

 

 うつ病の治療は、「休息・休養」、「薬物療法」、「精神療法」が治療の3本柱になります。少し前までは、治療として「リハビリテーション」を行うという概念がほとんどありませんでした。しかし、最近はうつ病が遷延化したり、再発を繰り返すといった難治例も珍しくありません。その場合、生活のリズムが整わなかったり、活動性が上がらずに停滞し、生活に支障が出ることが多くみられます。そこで、不十分な従来治療を補完するための「うつ病のリハビリテーションが必要なのです。

 作業療法は「具体的な作業」と「作業を共に行う人との関わり(集団)」を手段とし、性格傾向や行動特性、考え方のクセなどが見えやすいため、そのことを取り上げながら、その付き合い方を考えていくことができます。最近は従来型とは異なる新型うつ病といわれるタイプが増え、うつ病が多様化しています。そこで求められるのは画一的な治療ではなく、一人一人に合わせた、適切で柔軟な対応です。多様化するうつ病に十分対応していくためには、作業療法士が知恵を持ち寄り、ノウハウを蓄積、そして共有し、研鑽を積んでいくことは欠かせません。近頃、ストレスケア病棟やリワーク(復職リハ)を行う施設が増えてきています。今後、作業療法士がうつ病の患者さんと関わる機会が多くなっていくでしょう。その時、作業療法の持つ意味や有用性が問われてきます
 うつ病作業療法研究会は、より良いうつ病の作業療法の提供を目指し、皆様と共にうつ病の作業療法のあり方を考えていきたいと思います

副代表:稲富 宏之(京都大学大学院)

作業療法の強みを活かしたうつ病治療を目指して

 

 従来のうつ病治療に加えて、作業療法への期待が大きくなってきています。うつ病と作業療法について発表された論文や会議録の発表数が年々増えてきていることが期待の大きさを裏付けています。うつ病に対する作業療法が求められる理由は多種多様とは思いますが、従来のうつ病治療にはない作業療法の強みがあるからでしょう。それは、物づくりや集団内での対人交流といった作業活動を通して対象者が内省しながら暮らしに役立つ技能を高めることです。もう一つは、作業活動を通して対象者の自己洞察を促していく治療的働きかけができる点だと考えます。
 今後、うつ病に対する作業療法のニーズが高まるにつれて、作業療法士が果たすべき役割があると思います。それは、うつ病の作業療法に関する効用と限界を明らかにして有用性を高めることでしょう。当研究会は、作業療法の強みを活かしたうつ病治療を目指すために、うつ病の作業療法に携わる専門職の実践活動の集約と、根拠につながる研究活動を展開していく役割も担っています。皆様と共に作業療法の強みを活かせる議論の場としていきたいと考えています

Japanese Research Association for Occupational Therapy of Mood disorders

<作業療法(士)の紹介>

 

 作業療法(Occupational TherapyOT)は、日常にある活動(手工芸、音楽、園芸、スポーツなど)を用いて身体障害、精神障害、老年期障害、発達障害の対象者と共に、より良い生活を目標にリハビリテーションを行う専門職です。

 日本では約10万人の作業療法士が病院、地域施設、学校、大学、研究所、行政などで活躍しています。

 

 

OTについて詳しく知りたい方はこちらへどうぞ

 http://www.jaot.or.jp/

(日本作業療法士協会)

研究会事務局> 
 窓口:照井林陽

 E-mail:下の画像アドレスまで